후리가나로 읽는 일본 고전
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やすきちのてちょうから
保吉の手帳から
芥川 竜之介의 保吉の手帳から(やすきちのてちょうから)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,771자 · 18화면
それが彼の顔を見ると、突然厳格に挙手の礼をした。するが早いか一躍りに保吉の頭を躍り越えた。彼は誰もいない空間へちょいと会釈を返しながら、悠々と階段を降り続けた。
庭には槙や榧の間に、木蘭が花を開いている。木蘭はなぜか日の当る南へ折角の花を向けないらしい。が、辛夷は似ている癖に、きっと南へ花を向けている。保吉は巻煙草に火をつけながら、木蘭の個性を祝福した。そこへ石を落したように、鶺鴒が一羽舞い下って来た。鶺鴒も彼には疎遠ではない。あの小さい尻尾を振るのは彼を案内する信号である。
「こっち! こっち! そっちじゃありませんよ。こっち! こっち!」
彼は鶺鴒の云うなり次第に、砂利を敷いた小径を歩いて行った。が、鶺鴒はどう思ったか、突然また空へ躍り上った。その代り背の高い機関兵が一人、小径をこちらへ歩いて来た。保吉はこの機関兵の顔にどこか見覚えのある心もちがした。機関兵はやはり敬礼した後、さっさと彼の側を通り抜けた。彼は煙草の煙を吹きながら、誰だったかしらと考え続けた。二歩、三歩、五歩、――十歩目に保吉は発見した。あれはポオル・ゴオギャンである。あるいはゴオギャンの転生である。