후리가나로 읽는 일본 고전
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
国枝 史郎의 八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 160,664자 · 323화면
阿弥陀ヶ嶽の山骨を上へ上へと登って行く。途中一夜野宿をした。
三日目の昼頃辿り着いたのは「鼓ヶ洞」の谿谷で、見ると小屋が建っていた。幾年風雨に晒らされたものか屋根も板囲いも大半崩れ見る影もなく荒れていたが、この小屋こそは十数年前に窩人の娘山吹と城下の商人多四郎とがしばらく住んでいた小屋なのである。二人の間に儲けられた猪太郎と呼ぶ自然児もかつてはここに住んでいた筈だ。それらの人達はどこへ行ったろう? 山吹は既に死んだ筈である。しかし多四郎や猪太郎は今尚活きている筈だ。
鏡葉之助は小屋の前にやや暫時立っていた。不思議にも彼の心の中へ、何んとも云われない懐かしの情が、油然として湧いて来た。遠い昔に度々聞きそうして中頃忘れ去られた笛の音色が卒然と再び耳の底へ響いて来たような、得も云われない懐かしの情! 思慕の情が湧いて来た。しかしそれは何故だろう? そうだそれは何故だろう? 葉之助にとって「鼓ヶ洞」は何んの関係もないではないか、今度が最初の訪問ではないか。鏡葉之助は鏡葉之助だ。他の何者でもないではないか。
それとも葉之助と「鼓ヶ洞」とは何か関係があるのであろうか?