후리가나로 읽는 일본 고전
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
国枝 史郎의 八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 160,664자 · 323화면
葉之助は脇差しを投げ出した。それから大地へ端座した。眼を瞑むり腕を組んだ。猛獣の襲うに任せたのであった。
グルグルグルグル狼の群は、彼の周囲を駈け廻った。その輪をだんだん縮めて来た。
熊は三頭鼻面を揃えジリジリと前へ押し出して来た。
が、熊も狼も、容易に飛び付こうとはしなかった。
その時突然奇蹟が起こった。
まず一匹の大熊が、葉之助の前へゴロリと寝た。そうして葉之助の足を嘗めた。さも親しそうに嘗めるのであった。つづいて二匹の熊が寝た。そうしてこれも親しそうに、葉之助の手をベロベロ嘗めた。と、狼が走るのを止めて、葉之助の周囲へ集まって来た。そうして揃って後脚で坐り、前脚の間へ鼻面を突っ込み、上眼を使って葉之助を見た。それは親し気な様子であった。これはいったいどうしたのだろう? どういう魔術を使ったのだろう? 魔術ではない。奇蹟でもない。これには理由があるのであった。
葉之助自身は知らないのではあったが、彼は窩人の血を受けていた。彼の母は山吹であった。山吹は杉右衛門の娘であった。杉右衛門は窩人の長であった。里の商人多四郎と、窩人の娘の山吹とが八ヶ嶽山上鼓ヶ洞で、恋の生活を営んでいるうちに、孕り産んだのが葉之助であった。