후리가나로 읽는 일본 고전
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
国枝 史郎의 八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 160,664자 · 323화면
もうどこへも行く気はないから悪く思わずに堪忍しておくれ」
「おおそうか、有難てえなア。何んの許すも許さぬもねえ。俺の方から礼を云うよ」
二人はひしと抱き合った、すすりなきの声が聞こえて来る、岩太郎の胸へ顔を埋めたそれは山吹の泣き声である。すなわち甘い誘惑のために危うく足を踏みはずそうとして、わずかに助けられた悲喜の情が泣き声となってほとばしったのである。
誰もじっと黙っている。
秋の真昼は静かである。
さっきから門口に佇んで様子を見ていた牛丸は、この時つかつかとはいって来たがさもさも感嘆したように妙な人へ話しかけた。
「あなたは偉い方ですねえ、あなたはどういう方なんです?」
すると白衣の妙な人は穏かな微笑を頬に湛えながら牛丸の方へ進み寄り軽く頭を撫った。
「私かね、私は坊さんだよ。……総ての人よ愛し合えよ! こういう宗旨を拡めようとこの部落へ来た坊さんだよ」
「坊さん? ううん、坊さんじゃないよ。だって頭に髪があるじゃないか」
「だから私は有髪の僧じゃ。したがって私の説教は普通の坊さんとは少し違う」
「あなたの名は何んて云うの?」
「私には本来名はないのじゃ。