후리가나로 읽는 일본 고전
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じゅうえんさつ
十円札
芥川 竜之介의 十円札(じゅうえんさつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,647자 · 18화면
フロイライン・メルレンドルフの音楽会へも行かれるはずである。カンヴァスや画の具も買われるはずである。いや、それどころではない。たった一枚の十円札を必死に保存せずとも好いはずである。が、万一前借の出来なかった時には、――その時はその時と思わなければならぬ。元来彼は何のために一粟野廉太郎の前に威厳を保ちたいと思うのであろう? 粟野さんはなるほど君子人かも知れない。けれども保吉の内生命には、――彼の芸術的情熱には畢に路傍の行人である。その路傍の行人のために自己発展の機会を失うのは、――畜生、この論理は危険である!
保吉は突然身震いをしながら、クッションの上に身を起した。今もまたトンネルを通り抜けた汽車は苦しそうに煙を吹きかけ吹きかけ、雨交りの風に戦ぎ渡った青芒の山峡を走っている。……
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翌日の日曜日の日暮れである。保吉は下宿の古籐椅子の上に悠々と巻煙草へ火を移した。彼の心は近頃にない満足の情に溢れている。溢れているのは偶然ではない。第一に彼は十円札を保存することに成功した。第二にある出版書肆は今しがた受取った手紙の中に一冊五十銭の彼の著書の五百部の印税を封入してよこした。