후리가나로 읽는 일본 고전
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じゅうえんさつ
十円札
芥川 竜之介의 十円札(じゅうえんさつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,647자 · 18화면
曇天にこぞった若葉の梢、その向うに続いた鼠色の校舎、そのまた向うに薄光った入江、――何もかもどこか汗ばんだ、もの憂い静かさに沈んでいる。
保吉は巻煙草を思い出した。が、たちまち物売りに竹箆返しを食わせた後、すっかり巻煙草を買うことを忘れていたのを発見した。巻煙草も吸われないのは悲惨である。悲惨?――あるいは悲惨ではないかも知れない。衣食の計に追われている窮民の苦痛に比べれば、六十何銭かを歎ずるのは勿論贅沢の沙汰であろう。けれども苦痛そのものは窮民も彼も同じことである。いや、むしろ窮民よりも鋭い神経を持っている彼は一層の苦痛をなめなければならぬ。窮民は、――必ずしも窮民と言わずとも好い。語学的天才たる粟野さんはゴッホの向日葵にも、ウォルフのリイドにも、乃至はヴェルアアランの都会の詩にも頗る冷淡に出来上っている。こう云う粟野さんに芸術のないのは犬に草のないのも同然であろう。しかし保吉に芸術のないのは驢馬に草のないのも同然である。六十何銭かは堀川保吉に精神的饑渇の苦痛を与えた。けれども粟野廉太郎には何の痛痒をも与えないであろう。
「堀川君。」
パイプを啣えた粟野さんはいつのまにか保吉の目の前へ来ている。