후리가나로 읽는 일본 고전
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
島崎 藤村의 千曲川のスケッチ(ちくまがわのスケッチ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 81,668자 · 164화면
「十一……十一……十一……」とB君は段々声を細くして、谷を渡って行く鳥の啼声を真似て聞かせた。そのうちに、私達はある岡の上へ出て来た。
君、白い鈴のように垂下った可憐な草花の一面に咲いた初夏の光に満ちた岡の上を想像したまえ。私達は、あの香気の高い谷の百合がこんなに生えている場所があろうとは思いもよらなかった。B君は西洋でこの花のことを聞いて来て、北海道とか浅間山脈とかにあるとは知っていたが、なにしろあまり沢山あるので終には採る気もなかった。二人とも足を投出して草の中に寝転んだ。まるで花の臥床だ。谷の百合は一名を君影草とも言って、「幸福の帰来」を意味するなどと、花好きなB君が話した。
話の面白い美術家と一緒で、牧場へ行き着くまで、私は倦むことを知らなかった。岡の上には到るところに躑躅の花が咲いていた。この花は牛が食わない為に、それでこう繁茂しているという。
一周すれば二里あまりもあるという広々とした高原の一部が私達の眼にあった。牛の群が見える。何と思ったか、私達の方を眼掛けて突進してくる牛もある。こうして放し飼にしてある牛の群の側を通るのは、慣れない私には気味悪く思われた。