후리가나로 읽는 일본 고전
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みなみさんのこいびと
南さんの恋人
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 南さんの恋人(みなみさんのこいびと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,630자 · 36화면
いちばん意外な時、いちばんぼんやりしてる時……まあ云ってみれば、往来を歩いて、曲り角をまがった瞬間だとか、バスから降りて、歩道の上につっ立った間際だとか、酔っぱらって物に躓いて、ふらふらとして、電柱につかまったとたんだとか、さっき君が立っていって、すーっと冷たい風が流れた隙間だとか、そんな時に、はっきり彼女の姿が見えるんだ。どんな顔でどんな身なりだか、そんなことは分らないが、或る光みたいに、音響みたいに、香気みたいに、とにかくはっきり見える。僕は昨年、女房が死んで、その当座、女房のことをよく思いだしたものだが、そういう思い出とはまるでちがう。恋人の姿は、現在生きていて、まざまざと、そこにあるんだ。いつだったか、西に向って、坂を上っていたら、夕方のことで、夕日が真赤にさしてきたので、立上ってそれを眺めていると、坂の上に、彼女がじっと立っていた。僕が立ってる間、向うもじっと、夕日をあびて、僕の方を見ていた。一歩ふみだしたら、もう消えてしまった。」――おれは頭をかいた。――「そしてふだん、疲れた時とか、夜寝る時とか、その恋人のことを考えると、考えただけで、胸がしめつけられて、泣きたくなってくるんだ。