후리가나로 읽는 일본 고전
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
和辻 哲郎의 古寺巡礼(こじじゅんれい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 143,765자 · 285화면
その麦のなかを小さい汽車がノロノロと馳けてゆくのも、わたくしには淡い哀愁を起こさせる。またしても幼い時の心持ちがよみがえって来たのである。庭の砂の、かすかに代赭をまじえた灰白の色も、それを踏む足の心持ちも、すべてなつかしい。滑らかな言葉で愛想よく語る尼僧の優しい姿にも、今日初めて逢ったとは思えぬ親しさがある。
何とはなくしめった心持ちになって、麦の間から大仏殿をながめていると、相変わらずまた天平の面影が、想像の額縁のなかにもりあがってきた。
法華寺、詳しくは法華滅罪之寺は大倭の国分尼寺で、光明皇后の熱信から生まれたものらしい。天平十三年に詔が出ているから当時すぐ造営がはじまったとしても皇后はもう四十を超えていられた。それから二十年の間、皇后の特別な愛着がこの寺に集まった。従って尼寺と後宮との交渉が多く、後には孝謙上皇が住まれて仙洞御所のようになったこともあった。そのころは上皇ももう御年が四十六七であった。再び帝位に即かれた後にもなおしばらくこの寺は御所となって、盛んに造営が行なわれた。造法華寺司は光仁帝の時代にもまだ残っていたそうである。
われわれの立っている所に立っていれば、天平時代後半の大事件は大抵手に取るように見ることができたであろう。