후리가나로 읽는 일본 고전
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
和辻 哲郎의 古寺巡礼(こじじゅんれい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 143,765자 · 285화면
背後に山を負うていかにもしっくりとこの庭にハマっている優美な形の本堂も、――また庭の隅の小高いところに朽ちかかったような色をして立っている小さい三重の塔も、わたくしには初めてではなかった。わたくしは堂の前の白い砂の上を歩きながら、この漠然たる心持ちから脱することができなかったのである。
この心持ちは一体何であろうか。浅い山ではあるが、とにかく山の上に、下界と切り離されたようになって、一つの長閑な村がある。そこに自然と抱き合って、優しい小さな塔とお堂とがある。心を潤すような愛らしさが、すべての物の上に一面に漂っている。それは近代人の心にはあまりに淡きに過ぎ平凡に過ぎる光景ではあるが、しかしわれわれの心が和らぎと休息とを求めている時には、秘めやかな魅力をもってわれわれの心の底のある者を動かすのである。古人の抱いた桃源の夢想――それが浄土の幻想と結びついて、この山上の地を択ばせ、この池のほとりのお堂を建てさせたのかも知れないと思われるが、――それをわれわれは自分たちと全然縁のない昔の逸民の空想だと思っていた。しかるにその夢想を表現した山村の寺に面接して見ると、われわれはなおその夢想に共鳴するある者を持っていたのである。