후리가나로 읽는 일본 고전
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ほえる
吠える
宮本 百合子
宮本 百合子의 吠える(ほえる)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 2,148자 · 5화면
門扉が開き、まして近頃はアンテナさえ張ってあるのが見えるから、確に人はいるのだ。それにも拘らず、私が通る時出会うのは人ではない。犬だ。いつも、犬だ。白い頭の上から墨汁の瓶をぶっかけられたように、黒斑のある白犬だ。
斑犬を、私は一概に嫌いだというのではない。鷹揚で快活な斑もあるが、その犬のように、全体はっきりした白と黒とで穢れたようなのは、陰気だ。その上、まるで面長な色白い人間の婆さんのような表情を、この犬は持っているのだ。樫の木は、冬でも小暗い蔭を門になげている。家はがらんと人気ない。そこに、鎖につながれ、この斑の婆さん風な犬が私を見ている。――おまけに、その犬は、世間普通な犬の吠え方を知らないのか忘れるかしている。吠える声を聞くといつも遠吠えだ。死人の魂を動物の本能が感じて恐怖するという遠吠えだ。ワオーと、鼻にぬかして遠吠えする。
天気のいい、そして、或る私が最も神経的になることさえ起らない時なら、その斑犬を見るのも平気だ。困るのは或る一事の外天気のわるい時、雨の降る日。この時こそ私にとって目かくし役をする傘がどんなに有難いかわからない。どんな主人が住んでいるのであろうというのはここのことだ。