후리가나로 읽는 일본 고전
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さかたのばあい
坂田の場合
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 坂田の場合(さかたのばあい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 14,335자 · 29화면
「これは、今日あなたから来た速達の手紙です。この通り引裂いて捨てました。あなたが私の……あれを引裂かれたのと、丁度帳消しです。これで、私達は対等に御話が出来るわけです。」
敏子は顔色をかえ、唇をかみしめて、坂田を見つめていた。坂田は紙片をまるめてまた屑籠に放りこみ、椅子に腰を下した。
「そこで……何の御用ですか。」
おかしなことには、それまで、敏子の方でも坂田の方でも、まるで用件を忘れてたかのような風だった。だが、それより先に、引裂く云々の一件を説明しておこう。――中津が方々の負債にせめられて、どうにもならなくなった時、そしてなお、自棄気味の放蕩から会社も止めなければならなくなり、家には細君の産後の病気もあり、切端つまって、坂田に相談をもちかけてきた時、坂田はそれを引受けてやった。そして負債全部をすまして、今後相場などには手を出さないという条件で、一万七千円の小切手を書いて渡した。中津は今後のことを誓った。そして心から感謝して、それを妹の敏子へも打明けた。敏子は顔色をかえた。彼女はその頃、生活の苦しい余りに、自ら進んで、或るデパートに勤めていた。ところが、ふとしたことから、そのデパートの朋輩の一人を、坂田が誘惑して弄んだことを知っていた。