후리가나로 읽는 일본 고전
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면
正三などにわかることではなかった。彼は、一刻も速く順一に会って、工場疎開のことを告げておきたかった。親身で兄と相談したいことは、いくらもあるような気持がした。それなのに、順一は順一で高子のことに気を奪われ、今は何のたよりにもならないようであった。
清二はゲートルをとりはずし、暫くぼんやりしていた。そのうちに上田や三浦が帰って来ると、事務室は建物疎開の話で持ちきった。「乱暴なことをするのう。うちに、鋸で柱をゴシゴシ引いて、繩かけてエンヤサエンヤサと引張り、それで片っぱしからめいで行くのだから、瓦も何もわや苦茶じゃ」と上田は兵隊の早業に感心していた。「永田の紙屋なんか可哀相なものさ。あの家は外から見ても、それは立派な普請だが、親爺さん床柱を撫でてわいわい泣いたよ」と三浦は見てきたように語る。すると、清二も今はニコニコしながら、この話に加わるのであった。そこへ冴えない顔つきをして順一も戻って来た。
四月に入ると、街にはそろそろ嫩葉も見えだしたが、壁土の土砂が風に煽られて、空気はひどくザラザラしていた。車馬の往来は絡繹とつづき、人間の生活が今はむき出しで晒されていた。