후리가나로 읽는 일본 고전
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면
はじめ、康子はすとんと空虚のなかに投げ出されたような気持であった。それから、つぎつぎに憤りが揺れ、もう凝としていられなかった。がらくたといっても、度重なる移動のためにあんな風になったので、彼女が結婚する時まだ生きていた母親がみたててくれた記念の品であった。自分のものになると箒一本にまで愛着する順一が、この切ない、ひとの気持は分ってくれないのだろうか。……彼女はまたあの晩の怕い順一の顔つきを想い浮べていた。
それは高子が五日市町に疎開する手筈のできかかった頃のことであった。妻のかわりに妹をこの家に移し一切を切廻さすことにすると、順一は主張するのであったが、康子はなかなか承諾しなかった。一つには身勝手な嫂に対するあてこすりもあったが、加計町の方へ疎開した子供のことも気になり、一そのこと保姆となって其処へ行ってしまおうかとも思い惑った。嫂と順一とは康子をめぐって宥めたり賺したりしようとするのであったが、もう夜も更けかかっていた。
「どうしても承諾してくれないのか」と順一は屹となってたずねた。
「ええ、やっぱし広島は危険だし、一そのこと加計町の方へ……」と、康子は同じことを繰返した。