일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면

아오조라 문고

康子は康子で身支度をととのえ、やはりその頃、玄関さきに来ている。二人はあとさきになり、門口を出てゆくのであった。……ある町角を曲り、十歩ばかり行くと正三はもう鳴りだすぞとおもう。はたして、空襲警報のものものしいサイレンが八方の闇から喚きあう。おお、何という、高低さまざまの、いやな唸り声だ。これは傷いた獣の慟哭とでもいうのであろうか。後の歴史家はこれを何と形容するだろうか。――そんな感想や、それから、……それにしても昔、この自分は街にやって来る獅子の笛を遠方からきいただけでも真青になって逃げて行ったが、あの頃の恐怖の純粋さと、この今の恐怖とでは、どうも今では恐怖までが何か鈍重な枠に嵌めこまれている。――そんな念想が正三の頭に浮ぶのも数秒で、彼は息せききらせて、堤に出る石段を昇っている。清二の家の門口に駈けつけると、一家揃って支度を了えていることもあったが、まだ何の身支度もしていないこともあった。正三がここへ現れると前後して康子は康子でそこへ駈けつけて来る。……「ここの紐結んで頂戴」と小さな姪が正三に頭巾を差出す。彼はその紐をかたく結んでやると、くるりと姪を背に背負い、皆より一足さきに門口を出て行く。