후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 254,021자 · 495화면
不破の関守氏の許まで届けさせる。
それだけの手軽い動作で、次に硯の蓋をしにかかりました。硯箱も、蒔絵も、相当時代ものではあるが、お銀様は無意識にその蒔絵模様に眼を落しながら、硯の蓋をしてしまうと、はじめてホッと軽く息をつきました。
さきほどから、吠え連ねていた犬の遠吠えが、いつのまにか送られて、ついこの宿の裏まで来ている。
七十
お銀様が、ふっと振返ると、自分の後ろの廊下を人が通りました。
「お帰りになりましたか」
もう充分の心得があって、水の流るるが如き応対。
「は――」
と、お銀様の後ろの廊下を通り魔のように通るところの者が、軽い咳と間違えられるほどの応答で、通り過ぎてしまいました。
後ろには秋草を描いた襖がある。それを隔てての問答だから、そちらの姿は更にわからない。
だが、そのまま次の室へと歩み入って、そこへ、極めてしとやかに身を置いたことだけは確かです。
してみると、この場には、お銀様と隣り合ってもう一人の客がいたのだ。その客が、多分、宵の口から外出していたものだから、このすべてがお銀様一人の舞台として占められていた感じでしたが、たとえ室を別にしたからといって、相客があったこととして見ると、全体の風情がまた一変しないでもない。