후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 178,374자 · 345화면
その時には天上に月もなく、海上に波もなく、お松の心がたった一つの人影にとらわれて、進んでいいか、退いていいかさえわからなくなりました。
彼方の人影もまた、汀のほとりを、あちらへ向いて進んでいるのか、こちらを向いて引返しておいでになるか、それもわかりません。絵のような海岸に、ぽっちりと一滴の墨を流したように、人ひとりが立ち尽しているのを見るばかりです。
しばらくして、お松は月を避けるもののように海岸の砂をたどると、道はいつしか椰子の林の中に入っていました。お松は、まともに月を浴びることが心苦しくなって、木蔭に忍ぶ身となったらしい。けれども、その足もとは、夢を追うように、海に立つ彼方の墨絵のような一つの人影を追うているのです。
彼方の人影も、もはや、それより先へは、行って行けないことはないけれども、あとに会場を控える身にとっては、単独の行過ぎになることを虞れて、とある着点からおもむろに、踵を返して戻るもののようです。その時には、もうはっきりと、その進退の歩調がわかりました。そうして、こちらがじっとしていさえすれば、あちらの戻りを迎えることになるという進退がはっきりとわかりました。