후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 104,838자 · 204화면
ひとり、駒井甚三郎だけが、船長室にカンカンと明りをともして、その光に熱心な面を射させて、海図であろうか、航海誌であろうか、眼をさらしていて寝ようとはしないだけのものです――そのほかに、眠っているのか、醒めているのか、寂然不動の体を守って艫の方に坐っているのがムク犬であります。
やがて、船長室のカンカンとした燈火も消えました。これで全く船のうちの人という人は眠りに就いたことの確定を見すましたかのように、今まで寂然不動のムクが、悠然として立ち上り、のそのそとして甲板に歩み出しました。これからが、おれの職分の世界だと言わぬばかりに――
十
ノソリノソリと歩み出したムク犬は、左舷の舟べりに立って、海の上を見渡しています。
この静寂な海港の夜を破るほどの物音ではないけれど、左側の船腹のところで、たしかに断続的に物音が立っているのです。ミシリといったり、カタリといったり……それが鼠でも、ミサゴでもない証拠には、極めて軽いながら人の息づかいと、囁きとが聞えるのです。
ですから、当然、ムク犬として、それに聞き耳を立て、注意深い眼を注ぐことはその職責であります。