후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 285,635자 · 558화면
兵馬は浴衣を手に通しながら、苦笑いを禁ずることができません。
兵馬は異様な心持で、浴室から自分の座敷へ帰ろうとするその廊下の途中で、また一つの座敷から起る噪音に、驚かされてしまいました。
その座敷の中で、俄かに唄をうたい出したものがあるのです。多分それは寝床の中にいて、宿酔のまださめやらない御苦労なしの出放題だと思われますが、
ヤレ出た、鬼熊
ソレ出た、鬼熊
そっちを突ッつけ
こっちを突ッつけ
そっちでいけなきゃ
こっちを突ッつけ
こっちでいけなきゃ
そっちを突ッつけ
ヤレ出た、鬼熊
ソレ出た、鬼熊
ヤレソレ、鬼熊
ドッコイ、キタコリャ
図抜けた声で唄い出したものがありましたから、通りかかった兵馬が、その声に驚かされたのです。しかし、兵馬は、ただ驚かされただけではなく、その早朝からばかばかしい図抜けた声に、何か聞覚えがあるように思われるのも、いっそう兵馬を驚かしたことに力があったかも知れません。
さりとて、わざわざ障子をあけて、その図抜けた唄の主の首実検をしなければならないほどに聞き慣れた声でもありませんでしたから、これにも一種異様のおかしさをこらえて、そのままおのが座敷の方へと足を進ませてしまいました。