후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 268,946자 · 520화면
身を現わした一つの人影を米友が認めました。
それは、米友が認めたばかりではありません、万人ひとしく注意の焦点でありましたから、誰ひとりとして、その一個の人影を認めないものはなかったろうと思われます。それのみならず、認めるには、ちょうど都合のいいように、地の利もよかったし、第一、その人影そのものの風采が、かっきり、あたり近所を劃しておりました。
というのは、その一つの物形だけが竹槍蓆旗の両岸の人民たちと違って、鮮かにさむらいのいでたちの、しかも寛濶な着流しで、二本の大小を落し差しにしている風采そのものが示します。
不意に現われたこの一個の人影が、さしもにいきり立った竹槍組の先陣の気勢をも大いに緩和したのか、妨害したのか、とにかく、決死的に勢い込んだ先陣の槍先が鈍ったことは確かであります。
米友も、眼を拭ってそれをながめました。米友の立っている地点からは、かなり離れていることですから、さながら人形芝居を遠見している如く、影絵の拡大を日中見せられている如く見えるのですが、気のせいか米友の眼で――遠目にどうもそこへ現われたさむらいが、見たことのある――と言っても古い昔のことではない、最近に、そうそう、長浜の湖辺で、釣を垂れていたあの浪人者――あれに似ているように思われてなりません。