후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 319,771자 · 617화면
闇の中から白い手が出て、柱から壁、壁から長押を撫で廻す、それは見なかったぞ。してみると自分は、前の巻だけを見て、つまり、前奏曲だけを聞いて、仕草のところは見届けなかったというわけかな――
竜之助は、一旦はうなずいて、こう言って附け足しました、
「いや、その物悲しい男女の泣き声だけは確かに、この耳に留め申したが、その白い手首が出て、柱から壁、壁から長押と撫で廻す、それは見ないで参った」
と繰返し言のように言ってみましたが、はて、見なかったのは、出なかったのではない、自分は物を聞く人であって、見る設備を欠いているから、それでこの耳に聞いただけで、目には見えなかった。
見えないのが当然であるようで、また見えないはずがないともおもわれる。よし、今晩、立ちかえったら改めて見直してみよう。そういうものが見えるか見えないかは、眼の問題ではないように疑われて来たものですから、竜之助の足はここにありながら、頭は月心院の座敷に戻っておりました。そこで、尼への挨拶には、何ともつかず、
「実は、拙者も、つい昨今あれへ参ったものでござってな、いやもう、殺伐な壮士共と雑居を致しておりまするから、化け物の方も出る隙がなかったものでしょう、それが今晩あたりから、急に人が減って静かになったので、常例で出るものならば、改めて出直しの幕があるかも