후리가나로 읽는 일본 고전
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
国枝 史郎의 天主閣の音(てんしゅかくのおと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 38,941자 · 79화면
屋敷町の中庭などに、カッと赤い柘榴の花が、こぼれるばかりに咲いているのが、暑い真夏を予想させた。
やがて土用の季節となった。ムッチリと肥えた名古屋女が、白地の単衣に肉附を見せ、蚊遣の煙の立ち迷う、水縁などに端居する姿の、似つかわしい季節が訪れて来た。夕顔の花、水葵、芙蓉の花、木槿の花、百合の花が咲くようになった。
そういう季節の或日のこと、香具師はフラリと家を出て、野の方へ散歩した。
野には陽炎が立っていた。夏草が塵埃を冠っていた。小虫がパチパチと飛び翔けた。気持のよい微風が吹き過ぎた。ひどく気持のよい日であった。
児玉を過ぎ、庄内村を通り、名塚を越すと土手であった。
眼の下に広い川が流れていた。それは他ならぬ庄内川であった。川には橋がかかっていない。渡船を渡らなければならなかった。で彼は渡船を渡った。
もうこの辺は春日井の郡で、如何にも風景が田舎びていた。
一宇の屋敷が立っていた。
「はてな?」
と香具師は立止まった。「うむ」と彼は唸り出した。「これは素晴らしい屋敷だわい。四真相応大吉相の図説に、寸分隙無く叶っている。右に道路、左に小川、南に池、北に丘、艮の方角に槐樹のあるのは、悪気不浄を払うためらしい。