후리가나로 읽는 일본 고전
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ぶにんりしょうき
夫人利生記
泉 鏡花
泉 鏡花의 夫人利生記(ぶにんりしょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,693자 · 26화면
……
一時間ばかり前の事。――樹島は背戸畑の崩れた、この日当りの土手に腰を掛けて憩いつつ、――いま言う――その写真のぬしを正のもので見たのである。
その前に、渠は母の実家の檀那寺なる、この辺の寺に墓詣した。
俗に赤門寺と云う。……門も朱塗だし、金剛神を安置した右左の像が丹であるから、いずれにも通じて呼ぶのであろう。住職も智識の聞えがあって、寺は名高い。
仁王門の柱に、大草鞋が――中には立った大人の胸ぐらいなのがある――重って、稲束の木乃伊のように掛っている事は、渠が小児の時に見知ったのも、今もかわりはない。緒に結んだ状に、小菊まじりに、俗に坊さん花というのを挿して供えたのが――あやめ草あしに結ばむ――「奥の細道」の趣があって、健なる神の、草鞋を飾る花たばと見ゆるまで、日に輝きつつも、何となく旅情を催させて、故郷なれば可懐しさも身に沁みる。
峰の松風が遠く静に聞えた。
庫裡に音信れて、お墓経をと頼むと、気軽に取次がれた住職が、納所とも小僧ともいわず、すぐに下駄ばきで卵塔場へ出向わるる。
かあかあと、鴉が鳴く。……墓所は日陰である。苔に惑い、露に辷って、樹島がやや慌しかったのは、余り身軽に和尚どのが、すぐに先へ立って出られたので、十八九年不沙汰した、塔婆の中の草径を、志す石碑に迷ったからであった。