후리가나로 읽는 일본 고전
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
野村 胡堂의 奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,177자 · 22화면
皆様がお察しの通り、左近倉平と三室銀子は、恐ろしい勢で接近して行ったのです。四十五歳の定評のある男と、二十四歳のうぶな娘が、人の見る眼も、世上の噂も構わずに、両方から近づいて行って、三月経たないうちに、何処から見ても、二人は立派な恋人になり切っておりました。
それに対して深沢深の存在は、言いようもなくみじめで影が薄くて、滑稽でさえありました。強い牡犬と強い牝犬の恋を追って歩く弱い牡犬のように、首と尻尾を垂れて、二人の姿を追って、何処までも何処までも、ウロウロ従いて行く深沢深だったのです。
その間に三室銀子は花々しく楽壇にデビューし、その美しい声と、可憐な表情でたった一ぺんに、人気の絶頂に押し上げられました。左近倉平が伴奏を買って出たことは、兎角の噂を生んだにしても、二十世紀の初頭に名歌手エレナ・ゲルハルトが、名指揮者のニキシュの伴奏でデビューしたのと、ほぼ同じような効果を納めたことは言うまでもありません。
その頃から深沢深は、三室銀子と左近倉平を追うのをやめてしまいました。力およばないと覚って、諦めたのだろう――と、楽壇の雀共は噂をしましたが、深沢はアパートの四畳半に籠って、その頃から又三年前の熱心な作曲生活に入ったことは、私共深沢の友人達だけがよく知っている消息でした。