후리가나로 읽는 일본 고전
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
野村 胡堂의 奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,739자 · 23화면
それから実に三十七八年の歳月が経ちました。日露戦争が終り、世は大正となり、第一次欧洲戦争が終り、関東の大震災があって、もう一度昭和と改元してから、又十何年も経った頃のこと、私の先輩のS君――これは当時政府の高官であったのが、不意に電話を掛けて来て、
「藤波金三郎がブラジルから帰って来たが、昔の友人に逢い度いと言っているから、直ぐ日比谷の松本楼まで来たまえ」
というのです。その頃さる新聞社の編輯局の顧問的な地位に居た私は、直ぐ様飛んで行ったことは言う迄もありません。
「やア、暫く、俺だよ、藤波金三郎だよ」
斯う言われ乍ら、私は呆然として暫くは口も利けませんでした。わたしも御覧の通り白髪になって、昔の俤も無くなりましたが、藤波金三郎の変りようは、私以上に物凄かったのです。
元々良い男では無かったのですが、満面の皺も、半白の頭も、大して驚くに足らないとしても、上下とも歯が一本も無い上に、凡そ洋行帰りとは思えぬ野暮ったい姿で、昔乍らの秋田訛で、訥々と自己紹介をするのです。
「変ったなア、君は、まるで玉手箱を開けた浦島だ」
「いや、年を取ったのは御同様だよ、私は三十何年前の富士見軒の送別会に来てくれた、旧友達皆んなに逢いたくなったんだ。