일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

野村 胡堂의 奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,739자 · 23화면

아오조라 문고

藤波金三郎という人が泊った筈だが――と云うと、田舎風の大きい宿帳を持って来て、一二ヶ月のところをバラバラと開いて、此通り、藤田、伊藤などいう人は泊っているが、藤波金三郎という泊り客は、私が記憶して居るところでは、近年無かった筈だと言い切りました。

三十七年前の藤波金三郎と、女学生姿のお染のことはさすがに老番頭も記憶せず、念のためもう一度心付けをはずんで、日露戦争の始まった年の、五月の宿帳を土蔵の中から捜し出させました。

それはもう翌日になりましたが、埃を叩いて番頭と二人で調べて行くと、

「あったあった」

明治三十七年五月二十三日の泊り客の中に藤波金三郎二十五歳、国木田染二十一歳というのが、金三郎自身の手らしく淋漓たる墨蹟を残して居るのではありませんか。

藤波金三郎の物語は決して夢では無かったのです。が、これがある以上、一ヶ月前の老恋人達の名も無い筈は無いような気がするのです。新しい宿帳の先月の分をパラパラと開いて行った私は、

「――――」

ハッと息を呑みました。

三十五六日前の頃に、「近江愛之助、同染子」という字が、今度は万年筆でカードに書いて挟んであるではありませんか。