후리가나로 읽는 일본 고전
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
野村 胡堂의 奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,235자 · 22화면
で、かく申す私などは、まさに味覚型の特質を持った人間と申して宜しいのであります。現に私は、あの臭い納豆を五年間、盛夏の一二ヶ月休むだけで絶対に食べ通したことがあります。それは美しい呼売の声に釣られて下宿の窓に呼び寄せて納豆を買った可憐な少女が、測らずも感心な孝行娘であったことを、翌る日の新聞記事で知ってからのことでした。少女はその頃十二三でした。私は大学を出たばかりの文学青年で、写字と翻訳の下請負で細々と暮していた時ですが、窓の外に立った美声の少女の、雨に濡れた蒼白い顔が、十何年後の今でも忘れることが出来ません。私は三銭の納豆を一つ買って、少女がわけてくれたカラシをペン皿に入れて貰って食べました。納豆売の少女の、大きいが臆病らしい眼や、赤いがわななく唇や、木綿の汚れた袷や、人参のように赤くなった素足やは、私の記憶に鮮明に焼きつけられました。私は翌る日も、その翌る日も、同じ少女の通るのを待って、窓から三銭の納豆を買って食べたのです。
一ヶ月二ヶ月と経つうちに、時候が温かになって、納豆売の少女は来なくなりました。私はやるせない気持で待ちましたが、何時まで経っても、あの孝行娘の可憐な納豆売は来なかったのです。