후리가나로 읽는 일본 고전
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こをうばう
子を奪う
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 子を奪う(こをうばう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 39,292자 · 80화면
魚屋が来ると自分で立って行くことさえあった。滋養の多いものを取って体力をつけさせること――そのくせ運動を少くさせながら――それが彼女の主義らしかった。そしてしまいには、二人で入湯の旅に出かけることを夢想しだした。夢想……に違いなかった。いつまでも実現出来なかったから。
兼子が遊び半分に針を運んでる側で、幾代は彼から買って貰った種々の地図を拡げた。兼子も針を置いて覗き込んだ。そして二人で諸方の温泉を物色し初めた。やがては旅行案内記のようなものまで読み初めた。
「早くきめたらいいじゃありませんか。」と彼はよく云った。
「でもねえ、女ばかりの旅ですから……。」と幾代は答えた。
彼は仕事の関係上長い旅は出来なかった。それで、往きと帰りとだけ伴をすることにしようといったが、初めから女だけの方がいいと幾代は答えた。そして彼女等は頭の中で、温い湯の湧き出る野や山の自然を、築き上げたり壊したりした。そういう感傷的な気分のうちに、二人の心は実の母と子とのように結ばれていった。彼はそれを喜んだ。二人の心が落付いたと思った。
二人の心は実際落付いていた。然し、彼が夢にも思わなかったほどの深い所へ沈潜したのだった。