후리가나로 읽는 일본 고전
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
佐藤 垢石의 完本 たぬき汁(たぬきじる)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 133,158자 · 273화면
そのお肴一盤のうちに、塩漬けの鯛が一尾あった。
これは、京都の人々が正月に用いる『にらみ鯛』と同じものであった。
『にらみ鯛』というのは、膳の上へ鯛を一尾置いて、これを睨みながら、正月の酒を飲むからであった。山城国は、山国で海へは遠かった。瀬戸内海を控え浪速からも、日本海の方の若狭からも、丹後からも、鮮魚を取り寄せるのは困難であったのである。であるから、漁場から塩漬けの鯛がきた。それも、半ば味が変わっていたのである。とはいえ、それさえ貴重品であった。
正月は、家内一同この少しいかれている鯛を睨みくらべながら、杯を手にしたのである。そして、年賀の客にもこの鯛を、にらめさせた。
若狭守は、用人七兵衛から、お肴を受けとった。見ると下々の『にらみ鯛』と同じなのに恐懼したのであったが、余りの事に半信半疑の体であった。
それから七兵衛は鯛と一緒に頂戴した御酒一瓶を、内藤豊後守に贈ったのである。豊後は恭々しくその酒を拝味したが、これは御酒とは名ばかりのものであった。
豊後守は、京都町奉行の職にあったから、御酒の味について何事か思い当たるのであった。内藤豊後守は直ぐ家来の者を集め、禁裡御用の商人について、その奸曲を内偵させたのであった。