후리가나로 읽는 일본 고전
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たからづかおいたちのき
宝塚漫筆
小林 一三
小林 一三의 宝塚漫筆(たからづかおいたちのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 26,995자 · 53화면
それは東京会館と帝国劇場とである。
この二つの建物は昭和十一年、世界を一周して帰国すると、ただちにその理想を実現せんとして買収したものである。東京会館は現に、進駐軍の使用によって見ちがえるように花やかに、立派に、綺麗になっている。私の孫の大学生は、英語の勉強のために勤労者の一人として働いている。彼は命ぜらるる時間通り働きづめに働いている。ぼんやりと手を空しうして、油を売る時間の無いように、順序よく働かせらるるのに満足しつつ、その得るところ大なるを喜んでいる。
この東京会館の賑やかな、花やかな夜色に対して、帝劇のうす暗い周囲の光景を見るために、帝劇の屋上近い部屋の一隅に佇立したのである。そして帝劇附属館である四階建洋館の真暗な、沈黙せる建築を凝視すると、東宝の若い連中が、ここにも宝の持腐れを抱いて平然としているその呑気さに驚くのみである。
然し、帝劇そのものは、幸いにもバレエ「白鳥の湖」の開演中とあって、今しもチャイコフスキーの前奏曲が静かに、ゆるやかに、響き渡るのである。このクラシックのロシヤンバレエが、満員日延の興行であり、若い男女の事務員達が、嬉々として二十五円の入場料を払い大衆支持の盛況を呈していることは、帝劇買収当時の理想から見て、何という皮肉な現象であろう。