후리가나로 읽는 일본 고전
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ずいひつ よせばやし
寄席囃子 正岡容寄席随筆集
正岡 容
正岡 容의 寄席囃子 正岡容寄席随筆集(ずいひつ よせばやし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 112,259자 · 222화면
借りていた。
あたしはその鴉鳴く四谷の秋たそがれ、橘之助自身からそのかみの伊藤博文と彼女にまつわる、あやしい挿話を聞かせてもらったことがある。
橘之助は、博文公と、かなり、前から深い知り合いだったものらしい。で、公がハルピンへゆかれる時も、その送別の席上、
『こんど、俺が帰ってきたら、有楽座のようなボードビルを建ててやるから、自重して、そこへ年二回くらい出るようにしろ』
と、橘之助に言った。
『御前、それはほんとうですか』
夢かとよろこんで橘之助は、公をハルピンへ発たせたが、それから数カ月、ある夜、人形町の末広がふりだしで橘之助、高座へ上がると三味線が鳴らない。べんとも、つんとも、まるで鳴らない。とうとうそのまま高座を下りたが、悪寒はする、からだは汗ばむ。橘之助、何十年三味線を弾いていて、こんな例は一度もない。――昔、何とかいう三味線の名人が品川で遊んで(原武太夫のことだろう、何とかいう三味線の名人とその時の橘之助は言ったっけ)、絃の音色で大海嘯を予覚したという話さえ思い出して、遠からずこれは何か異変があるのじゃないかとさえ、心ふるえた。
そうしていやいやながら顔だけ出そうと、ほかの席はすっかりぬいて、トリの恵智十へ入るとたちまち、こんどは、スッと胸が晴れた。