일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ふじ

富士

岡本 かの子

岡本 かの子의 富士(ふじ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 40,579자 · 82화면

아오조라 문고

この仰ぎ見る天空の頂は麓の土とどういう関係に在るのか。麓はよし地上の山にしろ、頂はそれに何の縁もない雲に代って空から湧くまた一つの気体の別山なのではあるまいか。南の海の※螺が吐くという蜃気が描き出す幻山のたぐいではあるまいか。幻山を証拠立てるよう塩尻がたの尖から何やら煙のようなものの燻り出るのが見えるようでもある。

薄れ明るむ雲の垂れ幕とたそがれる宵闇の力とあらがう気象の摩擦から福慈岳の巨体は、巨体さながらに雲の帳の表にうっすり浮出で、または帳の奥に潜って見えたりする。何という大きな乾坤の動きであろう。しかも音もなく。呆れた夢に痺れさせられかけていた翁の心は一種の怯えを感ずるとぶるりと身慄いをした。翁の頭の働きはやや現実に蘇って来る。

翁は西国に於て、山ちょう山により自然と人間のことはほとんど学び尽し、性情にもあらゆる豊さを加えたつもりでいた。また永い歳月かかって体験から築き上げた考えと覚悟はもはや何物を持って来ても壊せず揺ぎないものと思っていた。ところがいま、模索した程度に過ぎないものの、福慈岳の存在に出遇ってみると、それ等のものは一時にけし飛び、自分なるものを穴に横匍う蘆間の蟹のように畸形にも卑小に、また、経めぐって来た永い歳月を元へ投げ戻されてただ無力の一孩児とにしか感じられない。