일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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あらし

嵐

寺田 寅彦

寺田 寅彦의 嵐(あらし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,217자 · 9화면

아오조라 문고

近い岬の岩間を走る波は白い鬣を振り乱して狂う銀毛の獅子のようである。暗緑色に濁った濤は砂浜を洗うて打ち上がった藻草をもみ砕こうとする。夥しく上がった海月が五色の真砂の上に光っているのは美しい。

寛げた寝衣の胸に吹き入るしぶきに身顫いをしてふと台場の方を見ると、波打際にしゃがんでいる人影が潮霧の中にぼんやり見える。熊さんだと一目で知れた。小倉の服に柿色の股引は外にはない。よべの嵐に吹き寄せられた板片木片を拾い集めているのである。自分は行くともなく其方へ歩み寄った。いつもの通りの銅色の顔をして無心に藻草の中をあさっている。顔には憂愁の影も見えぬ。自分が近寄ったのも気が付かぬか、一心に拾っては砂浜の高みへ投げ上げている。脚元近く迫る潮先も知らぬ顔で、時々頭からかぶる波のしぶきを拭おうともせぬ。

何処の浦辺からともなく波に漂うて打上がった木片板片の過去の歴史は波の彼方に葬られて、ここに果敢ない末を見せている。人の知らぬ熊さんの半生は頼みにならぬ人の心から忘られてしまった。遠くもない墓のに流木を拾うているこのあわれな姿はひしと心に刻まれた。

壮大なこの場の自然の光景を背景に、この無心の熊さんを置いて見た刹那に自分の心に湧いた感じは筆にもかけず詞にも表わされぬ。