후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
島崎 藤村의 嵐・ある女の生涯(あるおんなのしょうがい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 47,846자 · 96화면
「では、伯母さん、御懇意になった方のところへ行ってお別れなすったらいいでしょうに。伯母さんのお荷物はわたしが引受けますから」
「そうせずか。何だか俺は夢のような気がするよ」
おげんは姪とこんな言葉をかわして、そこそこに退院の支度をした。自分でよそゆきの女帯を締め直した時は次第に心の昂奮を覚えた。
「もうお俥も来て待っておりますよ。そんなら小山さん、お気をつけなすって」
という看護婦長の声に送られて、おげんは病室を出た。
黒い幌を掛けた俥は養生園の表庭の内まで引き入れてあった。おげんが皆に暇乞いして、その俥に乗ろうとする頃は、屋外は真暗だった。霜にでも成るように寒い晩の空気はおげんの顔に来た。暗い庭の外まで出て見送ってくれる人達の顔や、そこに立つ車夫の顔なぞが病室の入口から射す燈火に映って、僅かにおげんの眼に光って見えた。間もなくおげんを乗せた俥はごとごと土の上を動いて行く音をさせて養生園の門から離れて行った。
町の燈火がちらちら俥の上から見えるまでに、おげんは可成暗い静かな道を乗って行った。彼女は東京のような大都会のどの辺を乗って行くのか、何処へ向って行くのか、その方角すらも全く分らなかった。