후리가나로 읽는 일본 고전
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
平林 初之輔의 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕(あるたんぼうきしゃのはなし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 113,247자 · 229화면
The Psychology of Famous Criminals, A Scientific Study と金文字で背に記してある。私はその書物の頁の間から、小さい紙片をそっと取り出して、書物をもとの棚へしまった。そしてその紙片を電気の下へもって行ってひろげてみた。
「たしかに今日だ。今日の正午にまちがいない」と考えながら、私は、デスクの上においてある銀製の灰皿の上で、燐寸をすって、件の紙片の一端に点火した。蒼い炎が蛇のような曲線をえがいて、緩漫にひろがってゆき、やがて、すっかりそれをなめつくしてしまうと、滴のような小さいかたまりになって浮動していたが、ついにぽつりと空間に消えてしまった。私はその残骸を注意ぶかく鉛筆でかきまわして灰にしてしまった。あとで妻に発見されては大変だと思ったからだ。これだけの動作を、沈黙のうちにおわると、私は、再びスイッチをひねった。そして二三分の後には、もう暗い家の中を抜け出して、アーク灯の光のように白い戸外の夏の日をあびていたのだ。
私は、尾行巡査のように鋭い眼を八方にくばりながら――がんらい私の眼は鋭いという評判だが、特にその時は甚しかったに相違ないと思う――湯島五丁目のだらだら坂を、電車道の方へ上がって行った。