후리가나로 읽는 일본 고전
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まぼろしのたて
幻影の盾
夏目 漱石의 幻影の盾(まぼろしのたて)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 22,372자 · 45화면
夢ならぬを夢と思いて、思い終せぬ時は、無理ながら事実とあきらめる事もある。去れどその事実を事実と証する程の出来事が驀地に現前せぬうちは、夢と思うてその日を過すが人の世の習いである。夢と思うは嬉しく、思わぬがつらいからである。戦は事実であると思案の臍を堅めたのは昨日や今日の事ではない。只事実に相違ないと思い定めた戦いが、起らんとして起らぬ為め、であれかしと願う夢の思いは却って「事実になる」の念を抑ゆる事もあったのであろう。一年は三百六十五日、過ぐるは束の間である。七日とは一年の五十分一にも足らぬ。右の手を挙げて左の指を二本加えればすぐに七である。名もなき鬼に襲われて、名なき故に鬼にあらずと、強いて思いたるに突然正体を見付けて今更眼力の違わぬを口惜しく思う時の感じと異なる事もあるまい。ウィリアムは真青になった。隣りに坐したシワルドが病気かと問う。否と答えて盃を唇につける。充たざる酒の何に揺れてか縁を越して卓の上を流れる。その時ルーファスは再び起って夜鴉の城を、城の根に張る巌もろともに海に落せと盃を眉のあたりに上げて隼の如く床の上に投げ下す。一座の大衆はフラーと叫んで血の如き酒を啜る。