후리가나로 읽는 일본 고전
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いようへん
影を踏まれた女
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 影を踏まれた女(いようへん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 23,110자 · 46화면
」
ばあさんは振向かなかった。
「御免なさい。こちらは貸家でございますか。」と、彼は再び呼んだ。
ばあさんはやはり振向かない。幾度つづけて呼んでも返事はないので、彼は根負けがした。あのばあさんはきっと聾に相違ないと思って舌打ちしながら表へ出ると、路地の入口の荒物屋ではおかみさんが店先の往来に盥を持出していたので、彼は立寄って訊いた。
「この路地の奥の貸家の家主さんはどこですか。」
家主はこれから一町ほど先の酒屋だと、おかみさんは教えてくれた。
「どうも有難うございます。留守番のおばあさんがいるんだけれども、居眠りでもしているのか、つんぼうか、いくら呼んでも返事をしないんです。」
彼がうっかりと口をすべらせると、おかみさんは俄かに顔の色をかえた。
「あ、おばあさんが……。また出ましたか。」
この落語家はひどい臆病だ。また出ましたかの一言にぞっとして、これも顔の色を変えてしまって、挨拶もそこそこに逃げ出した。もちろん家主の酒屋へ聞合せなどに行こうとする気はなく、顫えあがって足早にそこを立去ったが、だんだん落ちついて考えてみると、八月の真っ昼間、暑い日がかんかん照っている。