후리가나로 읽는 일본 고전
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おんしゅうのかなたに
恩讐の彼方に
菊池 寛
菊池 寛의 恩讐の彼方に(おんしゅうのかなたに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 22,824자 · 46화면
が、彼は声を励まして、「いやさ、旅の人、手向いしてあたら命を落すまいぞ。命までは取ろうといわぬのじゃ。有り金と衣類とをおとなしく出して行け!」と、叫んだ。その顔を、相手の男は、じいっと見ていたが、
「やあ! 先程の峠の茶屋の主人ではないか」と、その男は、必死になって飛びかかってきた。市九郎は、もうこれまでと思った。自分の顔を見覚えられた以上、自分たちの安全のため、もうこの男女を生かすことはできないと思った。
相手が必死に切り込むのを、巧みに引きはずしながら、一刀を相手の首筋に浴びせた。見ると連れの女は、気を失ったように道の傍に蹲りながら、ぶるぶると震えていた。
市九郎は、女を殺すに忍びなかった。が、彼は自分の危急には代えられぬと思った。男の方を殺して殺気立っている間にと思って、血刀を振りかざしながら、彼は女に近づいた。女は、両手を合わして、市九郎に命を乞うた。市九郎は、その瞳に見つめられると、どうしても刀を下ろせなかった。が、彼は殺さねばならぬと思った。この時市九郎の欲心は、この女を切って女の衣装を台なしにしてはつまらないと思った。そう思うと、彼は腰に下げていた手拭をはずして女の首を絞った。