후리가나로 읽는 일본 고전
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おんしゅうのかなたに
恩讐の彼方に
菊池 寛
菊池 寛의 恩讐の彼方に(おんしゅうのかなたに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 22,824자 · 46화면
それは、もはや人間の心ではなかった。喜怒哀楽の情の上にあって、ただ鉄槌を振っている勇猛精進の菩薩心であった。実之助は、握りしめた太刀の柄が、いつの間にか緩んでいるのを覚えた。彼はふと、われに返った。すでに仏心を得て、衆生のために、砕身の苦を嘗めている高徳の聖に対し、深夜の闇に乗じて、ひはぎのごとく、獣のごとく、瞋恚の剣を抜きそばめている自分を顧ると、彼は強い戦慄が身体を伝うて流れるのを感じた。
洞窟を揺がせるその力強い槌の音と、悲壮な念仏の声とは、実之助の心を散々に打ち砕いてしまった。彼は、潔く竣成の日を待ち、その約束の果さるるのを待つよりほかはないと思った。
実之助は、深い感激を懐きながら、洞外の月光を目指し、洞窟の外に這い出たのである。
そのことがあってから間もなく、刳貫の工事に従う石工のうちに、武家姿の実之助の姿が見られた。彼はもう、老僧を闇討ちにして立ち退こうというような険しい心は、少しも持っていなかった。了海が逃げも隠れもせぬことを知ると、彼は好意をもって、了海がその一生の大願を成就する日を、待ってやろうと思っていた。
が、それにしても、茫然と待っているよりも、自分もこの大業に一臂の力を尽くすことによって、いくばくかでも復讐の期日が短縮せられるはずであることを悟ると、実之助は自ら石工に伍して、