후리가나로 읽는 일본 고전
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あくのはなたば
悪の花束
久生 十蘭
久生 十蘭의 悪の花束(あくのはなたば)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 23,888자 · 48화면
バルトウ氏も、夫人のジャンヌも、セエヌ河口のル・アーブルの旧家の出で、どちらも厳格なくらい旧教信心だが、性格と趣味は、全然一致できかねるようなところに凝り固っていた。写真にうつったバルトウ氏は、ひどい猪首で、肩幅の張った、頑固そうな見かけをしているが、実際もその通りで、法律と政治のほか、なんの趣味ももたず、短気で怒りっぽく、夫人にたいしても、時々、粗暴な振舞をした。夫人のほうは、気の弱い、優しすぎるような気質で、ピアノが上手で、文学の鑑賞にも高い趣味をもっているというぐあいなので、なにかにつけてよく衝突した。
そうした性格の争いは、結婚以来のことだが、とりわけ波風が立ちだしたのは、上院議員のモーリス・ベラールがバルトウ氏の家庭に入浸るようになってからのことである。
ベラールは安南にマンガンの礦山を持っており、毎年、一カ月ぐらいはそちらへ出かけるが、その留守に、アンドレとエドモンドという二人の弟がやっていた会社が詐欺で訴えられ、バルトウ氏の努力で助かったという一件があった。事件が落着したところで、ほとぼりのさめるまで、二人の弟を安南へやったが、ベラールがバルトウ氏と親密になったのは、そういう関係からだった。