후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
あるおんな
或る女
有島 武郎
有島 武郎의 或る女(あるおんな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 149,981자 · 295화면
田川夫婦もほほえみながら、サルンから挨拶のために近づいて来た。葉子はそれを見ると、古藤のそばに寄り添ったまま、左手をやさしく上げて、鬢のほつれをかき上げながら、頭を心持ち左にかしげてじっと田川の目を見やった。田川は桟橋のほうに気を取られて急ぎ足で手欄のほうに歩いていたが、突然見えぬ力にぐっと引きつけられたように、葉子のほうに振り向いた。
田川夫人も思わず良人の向くほうに頭を向けた。田川の威厳に乏しい目にも鋭い光がきらめいては消え、さらにきらめいて消えたのを見すまして、葉子は始めて田川夫人の目を迎えた。額の狭い、顎の固い夫人の顔は、軽蔑と猜疑の色をみなぎらして葉子に向かった。葉子は、名前だけをかねてから聞き知って慕っていた人を、今目の前に見たように、うやうやしさと親しみとの交じり合った表情でこれに応じた。そしてすぐそのばから、夫人の前にも頓着なく、誘惑のひとみを凝らしてその良人の横顔をじっと見やるのだった。
「田川法学博士夫人万歳」「万歳」「万歳」
田川その人に対してよりもさらに声高な大歓呼が、桟橋にいて傘を振り帽子を動かす人々の群れから起こった。田川夫人は忙しく葉子から目を移して、群集に取っときの笑顔を見せながら、レースで笹縁を取ったハンケチを振らねばならなかった。