후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおとこのしゅき
或る男の手記
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 或る男の手記(あるおとこのしゅき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 43,279자 · 86화면
どうせやるなら堂々と、金を返した上で拳銃で打合いたかった。所が私には、一体どれほど河野さんから借金があるのか、はっきりしたことが分らなかった。五千円を越してるかも知れないとぼんやり思うだけで、明確な所は俊子に聞かなければならなかった。家財道具を売払ったり友人に借りたりしても必ず金は返してみせる、その上で……と決心して俊子の方へやっていった。然し俊子の冷たい眼付に出逢うと、私はそれを云い出しかねた。浅間しい疑惑の一件が、しきりに邪魔となってきた。
その上俊子は、私の一身からひどい嫌悪と圧迫とを感じてるらしかった。絶えず私に顔を外向けて背を向けようとしたし、私の前を避けようとしていた。夜中に私がふと不安な心地で我に返って、彼女の寝ている方を窺うと、二燭の電燈のぼんやりした光の中で、布団の上に坐ってる彼女の寝間着姿が見えた。私は喫驚して息を凝らした。やがて彼女はぶるっと一つ身震いをして、傍に寝ている達夫の方に屈み込んで、その額に頬を押当てた。暫くすると立上って、ふらふらと室を出て行こうとした。私は飛び上ってその手首を捉えた。
「何処へ行くんだ!」
私の手の中で彼女の手首はぶるぶると震えた。