후리가나로 읽는 일본 고전
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せんうんをかるじょかい
戦雲を駆る女怪
牧 逸馬
牧 逸馬의 戦雲を駆る女怪(せんうんをかるじょかい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 29,866자 · 59화면
底に隠された手紙が、燃えかかっているのだ。掴み出して揉み消す。読んでみる。"M ―― Y" という署名があった。
みんな恋文なのである。立派な文章でしっかりした中年過ぎの男の筆蹟だ。だれだと訊いてもマタ・アリは答えない。答えなくても、筆者がだれであるか、密偵内部の第二号にだけはわかっていた。が、M――Yという署名、判然としているようで明瞭でない。そこを押してゆくと、マタ・アリは頑と口を噤んでいる。いざという場合にこの恋文を出して助命運動をするつもり、それで保存しておいたのだが、そのいざという場合のいま、彼女はそれを焼こうとした。しかも、あくまで相手の名を明かそうとしない。淋しい男性は、時として途上に出会した売春婦に大きな秘密を打ち明けるものだ。時としてまた、そういう女たちは、身をもって男の秘密を守ろうとする。この、マタ・アリが最後に示した一片の意気は、売春婦のそれにも似て、哀れに壮烈だといえる。
投獄されたのは、聖ラザアル刑務所だった。
マタ・アリは軍事裁判に付された。その評判は欧州はもちろん、全世界の新聞に喧伝されているから、記憶している読者もあろう。