후리가나로 읽는 일본 고전
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てがみ
手紙
芥川 竜之介의 手紙(てがみ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,390자 · 11화면
が、温泉宿へ帰る途中はM子さんのお母さんとばかり話していました。僕等は勿論前と同じ松林の中を歩いて行ったのです。けれどもあの赤蜂はもうどこかへ行っていました。
それから半月ばかりたった後です。僕はどんより曇っているせいか、何をする気もなかったものですから、池のある庭へおりて行きました。するとM子さんのお母さんが一人船底椅子に腰をおろし、東京の新聞を読んでいました。M子さんはきょうはK君やS君と温泉宿の後ろにあるY山へ登りに行ったはずです。この奥さんは僕を見ると、老眼鏡をはずして挨拶しました。
「こちらの椅子をさし上げましょうか?」
「いえ、これで結構です。」
僕はちょうどそこにあった、古い籐椅子にかけることにしました。
「昨晩はお休みになれなかったでしょう?」
「いいえ、……何かあったのですか?」
「あの気の違った男の方がいきなり廊下へ駈け出したりなすったものですから。」
「そんなことがあったんですか?」
「ええ、どこかの銀行の取りつけ騒ぎを新聞でお読みなすったのが始まりなんですって。」
僕はあの松葉の入れ墨をした気違いの一生を想像しました。それから、――笑われても仕かたはありません、僕の弟の持っている株券のことなどを思い出しました。