후리가나로 읽는 일본 고전
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りゃくだつせられたるおとこ
掠奪せられたる男
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 掠奪せられたる男(りゃくだつせられたるおとこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 23,398자 · 48화면
あの中の天使や悪魔も、あの乞食にそっくりだわね。あんな風にして出て来て、あんな風に消え失せてしまうじゃないの。私初めからそう思っていたわ、あの乞食は天使だろうか、悪魔だろうかって。そしてどちらか分らないうちにもうおしまいだわ。あの麺麭屋や荒物屋のお上さんには屹度、どちらだか分ったでしょうよ。私達はよその国の人だわね。」
山田は何とも云えないで、ただ秀子の顔を見返した。なるほど彼は、何か面白いものをという秀子の乞いに任せて、トルストイの小話の飜訳を貸してやったのであった。秀子はそれを大変面白がって何冊も、そして何度も、くり返して読んだと云っていた。然しそれが、こんな所に応用されようとは、山田の予期しない所であった。山田自身もあの小話には心酔して読み耽ったものであった。然し乞食の後をつけてる間、それは一度も思い出しもしなかったのである。「それごらんなさい!」という秀子の言葉の意味が彼に漸く分って来た。と共にその言葉は直接に彼自身に返って来た。彼は漠然とした恐れを懐いた。然し何を恐れることがあったのか? 彼の主義や思想から云っても、秀子が多少なりと精神的に眼を覚してゆくことは喜ばしいことではなかったか? それでも彼は、内心の或る恐れと不安とをどうすることも出来なかった。