후리가나로 읽는 일본 고전
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
甲賀 三郎의 支倉事件(はせくらじけん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 204,697자 · 406화면
石子刑事ははっと顔色を変えて居間に飛込んだ。
不吉な予感のあった通り、そこには支倉の姿はなかった。箪笥の前に小柄な女が佇んでいた。年の頃は二十七、八で、男勝りを思わせるような顔は蒼醒めて、眼は訴えるように潤んでいた。
「奥さん」
一目で支倉の細君と悟った石子は大声で叫んだ。
「御主人はどこへ行きましたか!」
「只今表の方へ出ました」
細君は静かに答えた。
石子刑事は安心した。表へ出れば、表門からであろうが、勝手口からであろうが、待ち構えている渡辺刑事に直ぐ見つかって終う。そう周章てるに及ばない。彼はそう思って落着くと、支倉の後を追う前に彼の鋭い眼で部屋の中をグルリと一廻り睨め廻した。彼の眼にふと開いた襖から鳥渡見えている二階へ通じる階段が映じた。その上にはさっき支倉が褞袍の上にしめていた黒っぽい帯が蛇のようにのたくっていた。瞬間に彼の第六感はしまったと頭の中で叫んだ。
彼は脱兎の如く部屋を飛出すと忽ち階段を駆け上った。八畳と六畳二間続きの南に向いた縁の硝子戸が一枚開いていた。その傍に駆け寄って見ると、下はふか/\した軟かそうな地肌だった。その地肌の上に歴々と大きな足袋裸足の跡と思われる型が、石子刑事を嘲けるように二つ並んでついていた。