후리가나로 읽는 일본 고전
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しんねんのあいさつ
新年の挨拶
山川 方夫
山川 方夫의 新年の挨拶(しんねんのあいさつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 2,866자 · 6화면
その女が、まるで習慣のように、毎年の元旦、声だけで夫を訪ねてくるのだ。
彼女は、その女の顔を憶えている。まだ婚約したてのころ、夫と二人で銀座を歩いていたとき、擦れちがいざま大仰な声をあげて夫に挨拶をしたのが彼女だった。色の白い、瘠せてはいるが猫のように身のしなやかな感じの、頬に大きな黒子がある女だった。しばらくのあいだポカンとして、「ああ」と夫が間の抜けた声を出したときは、女はすでに雑沓の中にかくれていた。夫は、そして彼女にその女のことを説明した。……べつに、嫉妬はなかった。美しくないとはいえない女だったが、彼女には、でもその女はけっして夫の好きなタイプの女ではないという確信があった。
翌年、夫と結婚して、今年でもう四年になる。夫の話だと、その三年まえ、つまり二人が見合いをした翌々年の正月から、こうした電話がかかりはじめたのだという。だとしたら、欠かさずにもう七年。それは、一つの執念じみたものと思えないでもない。
「だって、あなたとは話す用事も、話すべき理由もないって電話を切っちゃっても、かならずお正月のうちにまたかかってくる。仕方ないからこのごろじゃあきらめて三十分間だけは合槌をうってやることにしているんだ。