후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 176,911자 · 353화면
一箇の中に、無数の人間意志や宇宙意志を融合しており、彼自身は、それを“われ”だとしている者である。また周囲も、庶民も、それを“彼”だとしている者である。そしてその“我なり彼なる者”に、物々しい位階官職や姓名や特種な風貌があるために、これを人間同士で「何のなにがし殿」とつよく印象しあうが、実は、姓名官職はすべてみなこれ単なる仮の符牒でしかない。その正体は、たくさんな人間の中の、やはり一つの生命体にすぎないのである。
こう観てくると、あわれ庶民の望んでいる平和はいつも遠いようだ。しかし、時の代表者とて、平和を望んでいないのではない。いや誰よりもその到達を熱望しまた実現をいそいでいる者だ。が、彼には、条件がある。彼はその目的の権化でもあった。だから相反する者に会えば、両者は忽ち戦争に入る。いかなる外交の秘策も敢然として行いきる。――そして、この代表者の意志とうごきの間を縫って、無数の人間――あるがままな人間のすがたが、譎詐、闘争、貪欲の本能に躍り、また犠牲、責任、仁愛の善美な精神をも飛躍させる。これが人間みずから人間の住む時の地上を作りもし、彩りもし、また副産物として、ときには、文化の飛躍をも示すという――解き難いふしぎを天正の世にも見せているのであった。