일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 176,911자 · 353화면

아오조라 문고

佐吉は云った。

「かねてのお約束は今日の事と、このあたりの不用地をかく刈り拓き、日ごろ蓄えおきました運上金をもって、一万石の御軍用を備えおきました。何なりと、明日のお勤めに相かなわば、かたじけのう存じまする」

「おお、ついて来い。佐吉は、うしろにいて働け。うしろの兵糧方や大荷駄のやり繰りなど、しかとやれよ」

一万石の兵馬そのものよりも、ひとりの佐吉の頭脳の方が、秀吉には拾い物の気がされた。先駈けを争う武功一徹の武者ばらは雲のごとくいるが、当節、経済的にすぐれた頭脳などは、この三万の甲冑のなかにも見当らない。長浜以来の小姓部屋が生んだ一異才として、佐吉のあたまは、秀吉にとり、まさに珍重に足りるものだった。

その日、大半は京都を通過し、近江路に入り、翌二十三日の午前は早くも不破、赤坂の古駅を通っていた。このあたりは秀吉にとり、青年逆境の頃の追憶が路傍の一木一草にもあった。

(おお、菩提山も見ゆる……)

菩提山を望めば、菩提山ノ城もおもい出され、そこの主にして栗原山に隠棲した若き竹中半兵衛のすがたも彼のまぶたにうかんでくる。その栗原山へ膝を屈げ礼を低うして、何度となく登った頃のあの熱意と謙虚と希望の高さとを胸にあらたにするとき、秀吉はわれながら青年の血の純情さを尊くおもった。