후리가나로 읽는 일본 고전
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ふたりのとも
新潮日本文学1 森鴎外集
森 鴎外의 新潮日本文学1 森鴎外集(ふたりのとも)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,954자 · 29화면
安国寺さんは、私が小倉で京町に引き越した頃から、毎日私の所へ来ることになった。私が役所から帰って見ると、きっと安国寺さんが来て待っていて、夕食の時までいる。この間に私は安国寺さんにドイツ文の哲学入門の訳読をして上げる。安国寺さんは又私に唯識論の講義をしてくれるのである。安国寺さんを送り出してから、私は夕食をして馬借町の宣教師の所へフランス語を習いに往った。
そんな風であったから、私が小倉を立つ時、停車場に送ってくれた同僚やら知人やらは非常に多かったが、その中で一番別を惜んだものは安国寺さんであった。「君がいなくなっては、安国寺さんにお気の毒だね」と、知人は揶揄半分に私に言った。
果して安国寺さんは私との交際を絶つに忍びないので、自分の住職をしていた寺を人に譲って、飄然と小倉を去った。そして東京で私の住まう団子坂上の家の向いに来て下宿した。素と私の家の向いは崖で、根津へ続く低地に接しているので、その崖の上には世に謂う猫の額程の平地しか無かった。そこに、根津が遊郭であった時代に、八幡楼の隠居のいる小さい寮があった。後にそれを買い潰して、崖の下に長い柱を立てて、私の家と軒が相対するような二階家の広いのを建てたものがある。